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エタノール抽出の方法は?原理や水抽出との違いも解説

エタノール抽出の方法は?原理や水抽出との違いも解説

様々な分野で採用されている技術「エタノール抽出」は、原料から有用成分を効率良く取り出すことができ、植物エキスや香料、機能性素材の製造において欠かせない工程です。

この記事では、エタノール抽出の仕組みや原理、用途、水抽出との違いをはじめ、方法・流れやメリット・デメリットなどを解説します。

エタノール抽出について知りたい方や、受託加工の依頼先をお探しの企業のご担当者様はぜひご覧ください。

 

エタノール抽出とは?

動物由来(肉・魚・卵・乳製品など)、植物由来(果実・海藻など)の原料などに含まれる有用成分を、エタノール(アルコール)を溶媒として取り出す方法のことを指します。エタノールは極性と非極性の成分どちらにも適度に作用する性質があるため、水だけでは抽出しにくい成分なども効率良く取り出すことができます。

抽出条件によって得られる風味や成分組成を調整しやすく、原料の特性を引き出す加工が可能な点が特徴です。

 

仕組み・原理

エタノールの「水にも油にもある程度馴染む」という特性を活かした抽出方法で、エタノールは極性成分と非極性成分の両方に作用しやすく、香気成分・ポリフェノール・脂溶性成分など、水だけでは抽出しにくい成分も効率良く溶かし出せます。

原料をエタノールに浸漬し、一定の温度・濃度・時間を保ちながら成分を溶出させることで、目的に応じたエキスが得られます。

 

主な用途

代表的な用途として、ハーブエキス・スパイス抽出物・果実エキスなどの食品素材、サプリメントの機能性成分、化粧水や美容液に使われる植物エキス、香料原料などが挙げられます。

水抽出では取り出しにくい脂溶性成分や芳香成分を効率よく抽出できるため、原料の個性を活かした高付加価値の素材づくりに向いている方法です。

 

水抽出との違い

水抽出の最も大きな違いは、「取り出せる成分の種類」と「得られるエキスの特徴」にあります。水抽出はポリフェノール・糖類・アミノ酸・ミネラルなど、水に溶けやすい成分の抽出に適しており、食品用途での安全性や扱いやすさが強みです。

エタノール抽出は水では溶けにくい脂溶性成分や芳香成分を効率良く取り出せるため、香り高いエキスや機能性素材の製造に向いています。また、エタノール濃度を調整することで溶け出す成分の種類をコントロールしやすく、仕上がりの成分組成や風味を細かく調整できる点も特徴です。水抽出と比べて用途の幅が広く、目的に応じてより柔軟な抽出が可能になります。

 

エタノール抽出の方法・流れ

エタノール抽出の方法・流れ

ここでは、一般的なエタノール抽出の流れを順を追って説明します。

 

①原料の前処理(粉砕・洗浄)

抽出効率を高めるため、原料を洗浄・乾燥し、粉砕して表面積を広げます。

 

②抽出(浸漬)

粉砕した原料をエタノールまたはエタノールと水の混合溶媒に浸漬します。濃度、温度、時間は目的成分に合わせて調整されます。脂溶性成分や香気成分が溶媒へ移行していきます。

 

③ろ過(固液分離)

抽出後、原料の固形物(おから・残渣)と抽出液をろ過して分離します。そこで得られる液体がエキスの元となります。

 

④濃縮

抽出液からエタノールを蒸発させ、必要な濃度までエキスを濃縮します。減圧下で低温濃縮を行うことで、成分や香りの劣化を抑えられます。

 

⑤精製・調整

用途に応じてろ過精度を高めたり、Brix(糖度)や粘度、成分量などを調整します。最終的に液体・ペースト・粉末など、目的に合う形状へ加工できます。

 

エタノール抽出のメリット・デメリット

エタノール抽出のメリット・デメリット

エタノール抽出のメリット・デメリットとして以下のことが挙げられます。

 

メリット

最大のメリットは、先述した水では抽出しにくい脂溶性成分や芳香成分を効率よく取り出せる点です。ポリフェノール類、香気成分、色素成分など、機能性や風味に関わる成分を豊富に含んだエキスを得ることができます。

また、エタノール濃度を調整することで溶け出す成分をコントロールしやすく、目的に合わせた抽出設計ができるのも大きな特徴で、仕上がりの成分組成や香りの強さなど、製品づくりに合わせた精度の高い調整が可能です。

衛生面でも優れており、エタノールに殺菌作用があるため、抽出過程で微生物リスクが低く、安定した品質を保ちやすい点もメリットといえます。

 

デメリット

一方で、エタノール抽出にはいくつかのデメリット(注意点)もあります。まず、エタノールが水より高価であるため、原料の種類やロット規模によってはコストがかかりやすい点が挙げられます。また、抽出後にはエタノールを完全に除去する濃縮工程が必要で、管理が不十分な場合には残留リスクが生じる可能性もあります。

さらに、エタノールに溶けにくい水溶性成分は十分に抽出できないことがあり、目的成分によっては水抽出の方が適しているケースもあります。加えて、エタノール抽出特有の風味が残る場合があるともいわれており、最終製品の香りや味を重視する用途では注意が必要です。用途や製品設計に応じて、抽出方法を適切に選ぶことが重要です。

 

原料加工のご相談なら

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当社では、1988年の創業以来、原料調達から抽出・濃縮・加工まで一貫対応できる体制を整え、一般食品・健康食品・化粧品分野を中心に幅広いメーカー様からご信頼をいただいております。原料の種類や目的に応じて、最適な抽出条件を設定し、安定した品質で原料加工を行えるのが大きな強みです。

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エタノール抽出について

エタノール抽出は、水では取り出しにくい香気成分や脂溶性成分を効率良く抽出できる方法として、幅広い分野で用いられています。濃度調整によって成分の溶出をコントロールしやすい点も特徴で、原料の個性を活かしたエキスづくりに適した抽出法といえるでしょう。

一方で、コストが高くなりやすい点や、適切な管理が行われていないと残留リスクが生じる点には注意が必要です。抽出方法の違いを理解することで、目的に合った加工方法を選びやすくなるでしょう。

 

食品保健指導士 渡邉 正範
渡邉 正範
食品保健指導士

1998年03月に「大根踊り(青山ほとり)」が名物の某私大農学部を卒業後、サプリメント製造受託メーカーにて研究開発10年・営業13年を経験し、2020年09月より当社技術営業に従事。
ヘルスケア業界27年の経緯を生かし、健康と栄養の正しい理解を広げたいと奮闘中。
趣味は、DIYとラーメン店めぐり。

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