フリーズドライ製法とは何?原理やメリット・デメリットなど
様々な製品づくりの現場で用いられている加工技術のひとつ「フリーズドライ製法」。品質を保ちながら長期保存を可能にする技術として広く知られていますが、原理や詳細を深く理解されている方は少ないでしょう。
今回の記事では、「フリーズドライ製法」をテーマに原理・仕組みをはじめ、主な用途、メリット・デメリットなどを解説します。
フリーズドライ製法について知りたい方や、委託加工を検討されている企業のご担当者様はぜひご覧ください。
フリーズドライ製法とは?
フリーズドライ製法(凍結乾燥法)とは、原料を凍結させた後、真空下で氷を昇華させて水分を取り除く乾燥方法を指します。素材が凍ったまま乾燥が進むため、熱によるダメージを避けながら水分だけを効率良く除去できる点が大きな特徴です。一般的な乾燥方法では変質しやすい風味・香り・栄養成分を保持しやすく、品質を重視した加工に適しています。
一般食品・健康食品・化粧品・医薬品といった幅広い分野で採用されており、特に付加価値の高い製品づくりに欠かせない技術です。また、乾燥後の素材は軽量で保存性にも優れ、長期保存や携帯性が求められる用途でも活用が進んでいます。
素材本来の魅力を保ちながら保存性と利便性を両立できる加工方法として、多くのメーカーが製品づくりにおいて選択肢に挙げる技術のひとつとなっています。
原理・仕組み
フリーズドライ製法は「凍結」→「真空乾燥(昇華乾燥)」→「仕上げ乾燥」というのが主な工程です。
凍結
原料を急速に凍結させ、内部の水分を細かい氷結晶として固定します。急速凍結することで細胞構造の破壊を抑え、品質保持がしやすくなります。
真空乾燥
凍結した原料を真空状態に置くと、氷が液体にならず固体から直接気体(蒸気)になる昇華という現象が起こります。その過程でも原料が熱にさらされないため、熱に弱い成分や香り成分、酵素なども保持されやすくなります。
仕上げ乾燥
昇華しきれなかった微量の水分を除去し、安定した乾燥状態にして製品として仕上げます。その工程まで経ることで、常温保存が可能で吸湿しにくい乾燥品が完成します。
主な用途
フリーズドライ製法は、多岐にわたる製品で活用されています。
食品分野では、インスタント味噌汁・スープ・フルーツ・野菜・惣菜などに用いられ、湯を注ぐだけで元の状態に近い食感や風味が再現できる点が高く評価されています。また、栄養価を保持しやすいことから、サプリメント・プロテイン・健康食品の原料加工にも採用されています。
さらに、化粧品や医薬品では、熱に弱い成分を安定的に保存する目的で活用され、有効成分を壊さずに粉末化したい場合の有効な手法として重宝されています。非常食や宇宙食、アウトドア向け携行食など、軽量で保存性が求められる用途にも適しており、用途の幅は年々広がっています。
フリーズドライ製法のメリット・デメリット

フリーズドライ製法のメリット・デメリットとして以下のことが挙げられます。
メリット
最大のメリットは、素材本来の風味・香り・色・栄養成分・機能性を高いレベルで保持できる点です。凍結状態のまま水分を昇華させて乾燥させるため、熱による劣化・変質がほとんど起きず、品質を優先したい製品などに適しています。また、乾燥後の製品は軽量で扱いやすく、常温で長期間保存できるのも大きな利点です。
さらに、お湯や水を加えるだけで元の状態に近い形に戻る「再水和性」に優れているのも大きなメリットで、品質保持・利便性・保存性を同時に実現できる点は、魅力的なポイントといえるでしょう。
デメリット
一方で、フリーズドライ製法にはいくつかのデメリットも存在します。まず、凍結設備・真空乾燥装置など高度な設備が必要となるため、一般的な乾燥方法に比べて製造コストが高くなりやすい点が挙げられます。また、処理に時間を要するため、生産量が限られやすく、大ロット対応が難しい場合もあります。
さらに、素材の種類によっては凍結によって組織が変化し、戻した際の食感が生の状態とは異なる場合があります。粉末化する場合にも、適切な賦型剤や条件の検討が必要です。
【受託加工】原料加工のご相談は「ファーマテック」へ

フリーズドライ製法をはじめとする原料の乾燥加工の委託をご検討中の企業様は、ぜひファーマテック株式会社へご相談ください。当社は1988年の創業以来、原料調達から抽出・濃縮・乾燥まで一貫対応できる体制を強みに、一般食品・健康食品・化粧品など多様な業界の原料加工を支えてきました。素材特性や用途に応じた最適な加工条件を提案できるのが大きな特徴で、安定した品質の原料づくりをサポートしています。
対応可能な製法・技術も幅広く、フリーズドライ製法・スプレードライ製法などの加工に加え、必要に応じて賦型剤の選定やBrix調整など、細やかな仕様にも柔軟に対応しています。抽出工程から依頼に関しても、熱水抽出・アルコール抽出・超臨界CO₂抽出など多様な方法に対応しており、原料の段階から最終製品に適した加工まで一貫してお任せいただけます。
原料加工に関するお悩みや仕様検討の段階でも、まずはお気軽にご相談ください。最適な製法をご提案させていただきます。
フリーズドライ製法について
フリーズドライ製法は、素材を凍結させたまま水分を昇華させることで、風味・香り・栄養成分を保持したまま長期保存でき、高品質な製品を製造できる乾燥方法です。一般食品から健康食品原料、医薬品・化粧品分野まで幅広く活用されており、熱に弱い成分を扱う際にも有効な技術といえます。
用途や予算、求める品質に応じてスプレードライ製法など他の乾燥方法とも比較しながら、最適な加工方法を選択することが大切です。
原料加工に関するお悩みやご相談がございましたらぜひお気軽にお問い合わせください。

1998年03月に「大根踊り(青山ほとり)」が名物の某私大農学部を卒業後、サプリメント製造受託メーカーにて研究開発10年・営業13年を経験し、2020年09月より当社技術営業に従事。
ヘルスケア業界27年の経緯を生かし、健康と栄養の正しい理解を広げたいと奮闘中。
趣味は、DIYとラーメン店めぐり。