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熱水抽出とは?原理やメリット・デメリットを解説

熱水抽出とは?原理やメリット・デメリットを解説

原料加工の現場では、多様な素材から価値ある成分を引き出すために、様々な抽出技術が用いられています。その中でも古くから、多くの分野で行われてきた方法が「熱水抽出」です。

今回の記事では「熱水抽出」をテーマに、仕組みや原理、用途、方法、メリット・デメリットなどを解説します。原料加工の依頼を検討している企業の担当者や、抽出方法を理解したい方はぜひ参考にしてください。

 

熱水抽出とは?

原料に含まれる有用成分を高温の水によって効率よく取り出す抽出方法です。植物や海藻など、水に溶けやすい成分を多く含む素材と相性が良く、古くから一般食品・健康食品の製造において行われてきました。

化学溶媒を使わず、水だけで成分を取り出せるため安全性が高く、食品用途に適した抽出法として知られています。抽出後は、ろ過・濃縮・乾燥などの工程を経て、使いやすい形状に加工されます。

 

仕組み・原理

加熱によって原料の細胞壁がゆるみ、内部に含まれる成分が水中へ移行しやすくなる性質を利用した抽出方法です。一定温度の熱水に原料を浸すことで、ポリフェノール、アミノ酸、ミネラル、糖類などの水溶性成分が溶け出します。

抽出温度や処理時間、使用する水の量などは原料の種類や取り出したい成分によって細かく調整されます。それらの条件によって抽出効率だけでなく、最終的な風味や色、機能性にも大きな影響が出るため、適切な設計が重要になります。

 

主な用途

水溶性の成分を中心に抽出するため、一般食品・健康食品分野で用いられることが多いです。例えば、植物エキス、茶エキス、海藻エキスなどが代表的で、それらはスープ・調味料・飲料・サプリメントの原料として活用されています。

また、素材本来の風味を比較的損なわずに抽出できるため、香りを活かした食品原料においても用いられることが多いです。さらに、安全性や扱いやすさから、化粧品原料として植物エキスを製造する際にも採用されるなど、用途は多岐にわたります。

 

熱水抽出の方法・流れ

熱水抽出の方法・流れ

原料に含まれる水溶性成分を効率よく取り出すために、いくつかの工程を順序立てて進める必要があります。

まず、抽出したい植物や海藻などの原料を選別し、異物や不要部分を取り除いたうえで洗浄します。その後、原料を細かくカットしたり破砕したりして、成分が溶け出しやすい状態にします。続いて、適切な温度に加熱した熱水に原料を投入し、一定の時間をかけて成分を溶出させます。その際、温度・水量・時間は原料の種類や目的成分に合わせて調整します。

抽出が完了したら、固形分を取り除くためにろ過工程を行い、抽出液のみを回収します。その後、用途に応じて濃縮や乾燥を行い、液体・ペースト・粉末など最終形状に加工します。

 

熱水抽出のメリット・デメリット

熱水抽出のメリット・デメリット

熱水抽出のメリット・デメリット(注意点)として以下のことが挙げられます。

 

メリット

熱水抽出の最大のメリットは、水のみを使用することによる高い安全性です。化学溶媒を使わないため残留リスクがなく、乳幼児向け食品や健康食品でも安心して利用できます。また、ポリフェノール・アミノ酸・ミネラルなど、水溶性の有用成分を効率よく抽出でき、原料の特性を損なわずに安定した品質のエキスを得られる点も大きな利点です。

さらに、抽出と同時に熱処理効果が働き、微生物リスクが低減するため衛生面にも優れています。加えて、工程管理が比較的シンプルで、温度や時間といった条件を一定に保ちやすいため、品質ブレが少ないという利点もあります。そのため、同じ品質のエキスを継続的に製造しやすく、大量生産にも向いている点もメリットといえます。

 

デメリット(注意点)

様々なメリットがある一方でデメリット(注意点)もあります。熱水抽出は万能ではなく、原料によっては向かないケースもあります。まず、熱に弱い香り成分やビタミン類などは、高温によって分解・揮発しやすいため、期待する成分が十分に残らないことがあります。また、水に溶けにくい脂溶性成分は抽出できないため、原料本来の成分の一部しか取り出せない場合もあります。

さらに、熱水抽出は成分が多く溶け出す一方で、渋み・苦味・色素など不要成分も同時に溶け出す可能性があるため、抽出条件の最適化が欠かせません。品質を安定させるには、温度・時間・原料処理などの管理を慎重に行う必要があります。

 

原料加工のご相談なら

熱水抽出をはじめとした原料加工を外注する場合には、適切な専門業者に依頼する必要があります。業者選定で迷われた際には、ぜひファーマテック株式会社にご相談ください。

当社では、1988年の創業以来、原料調達から抽出・濃縮・加工まで一貫して対応できる体制を整え、一般食品・健康食品・化粧品業界を中心に多くの企業様から高い評価をいただいております。原料の特徴や用途に合わせて最適な抽出方法を選定し、安定した品質の原料を製造できる点が大きな強みです。

対応可能な抽出法も幅広く、熱水抽出・アルコール抽出はもちろん、超臨界CO₂抽出など専門性の高い加工のご依頼も承っています。抽出後の濃縮工程では、Brix(糖度)調整など細やかな仕様にも柔軟に対応し、最終製品に適した原料づくりをサポートしています。

原料加工に関するお悩みやご相談がございましたら、まずはお気軽にお問い合わせください。製品開発の課題に寄り添い、最適な方法をご提案させていただきます。

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熱水抽出について

熱水抽出は、植物や海藻、きのこ類などに含まれる成分を効率よく取り出すために広く用いられている方法であり、幅広い分野で欠かせない加工技術です。高温の水だけで抽出できる手軽さや安全性が大きな魅力で、一方で熱に弱い成分には注意が必要になるなど、特性を理解したうえで用いることが重要です。

安定した品質の原料を確保するためには、原料の特性を理解し、最適な抽出法を選定できる専門業者への相談・受託加工の依頼が欠かせません。効率よく、かつ目的に合った加工を行うためにも、信頼できる業者と連携し、最適な工程設計を行うことが製品づくりにおいて重要なことです。委託加工を検討されている方はぜひ参考にしていただければと思います。

 

食品保健指導士 渡邉 正範
渡邉 正範
食品保健指導士

1998年03月に「大根踊り(青山ほとり)」が名物の某私大農学部を卒業後、サプリメント製造受託メーカーにて研究開発10年・営業13年を経験し、2020年09月より当社技術営業に従事。
ヘルスケア業界27年の経緯を生かし、健康と栄養の正しい理解を広げたいと奮闘中。
趣味は、DIYとラーメン店めぐり。

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