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スプレードライ製法の原理を解説!メリット・デメリットも

スプレードライ製法の原理を解説!メリット・デメリットも

粉末食品や機能性素材の製造において、品質を左右する重要な工程のひとつが「乾燥」です。乾燥加工には様々な方法があり、目的や素材によって適切な方法は異なります。

今回の記事では「スプレードライ製法」に焦点を当て、原理・仕組みをはじめ、主な用途や、フリーズドライとの違い、メリット・デメリットなどを解説します。

スプレードライ製法について知りたい方や、乾燥加工の依頼を検討されている方はぜひご覧ください。

 

スプレードライ製法とは?

液体状の原料を細かな霧(スプレー)状にし、高温の乾燥空気に触れさせて瞬時に水分を蒸発させ、粉末へと加工する乾燥技術を指します。その工程には、専用の機器・設備が使われ、液体から粉末への変換を短時間で行えることから大量生産に向いており、食品・健康食品・化粧品原料など幅広い分野で活用されています。

 

原理・仕組み

スプレードライ製法は、液体原料を「霧化(アトマイズ)」し、微小粒子にして乾燥させるのが特徴で、まず、液体をノズルやアトマイザーによって細かい霧状にし、乾燥室内部へ高速噴霧します。そこへ高温の乾燥空気を送り込むことで、霧状の粒子は急速に水分を失い、ほぼ瞬間的に乾燥が完了します。

乾燥が一瞬で進む理由は、霧化によって粒子表面積が飛躍的に大きくなるためです。短時間で水分が蒸発し、内部温度が高温に達しにくいことから、熱に弱い成分でも比較的品質を保ちながら粉末化できます。乾燥後の粉末は乾燥室の下部に回収され、粒度調整やふるい分けを経て製品として仕上げられます。

 

主な用途

多様な産業で用いられているスプレードライ製法は、食品分野では、コーヒー、出汁、スープベース、乳製品、調味料、甘味料、植物エキスなどの粉末化で採用されています。

健康食品・サプリメント分野では、植物抽出物や発酵エキス、乳酸菌素材など、機能性原料の粉末加工に用いられています。品質のばらつきを抑えながら粉末化でき、顆粒、カプセル、タブレットなど、多様な形状の製品に応用されています。

化粧品原料では、植物エキスパウダー、保湿成分の粉末化、香料やオイルのマイクロカプセル化など、製剤設計に欠かせない技術として利用されています。

 

フリーズドライとの違い

スプレードライが高温の乾燥空気で一気に水分を飛ばすのに対し、フリーズドライ(凍結乾燥)は原料を凍結させた状態で真空下に置き、氷を昇華させて乾燥させる方法です。フリーズドライは熱をほとんど加えないため、風味や色、栄養成分の保持率が高いものの、工程が複雑で時間がかかり、コストも高くなりがちです。

一方、スプレードライ製法は加工スピードが速く、大量生産に向くという利点があります。目的、原料特性、コスト、求める品質レベルに応じて使い分けることが重要です。

 

スプレードライ製法のメリット・デメリット

スプレードライ製法のメリット・デメリット

スプレードライ製法のメリット・デメリットとして以下のことが挙げられます。

 

メリット

最大のメリットは、液体原料を短時間で粉末化できる高い生産効率にあります。瞬時に乾燥が進むため、大量生産との相性が非常に良く、安定した供給体制を整えたい企業にとって大きな利点となります。また、乾燥が瞬時に行われることで、原料内部まで過度な熱が伝わりにくく、香り・色・風味・栄養成分などの品質劣化を比較的抑えられるケースが多い点もメリットとして挙げられます。

さらに、得られる粉末は粒度がある程度均一になりやすく、流動性が高いため、その後の製剤・混合・充填といった加工工程において扱いやすい形状に仕上がります。溶解性が良く、お湯や水にさっと溶けるタイプの粉末原料として利用しやすい点も、食品・健康食品・飲料分野において大きな利点といえるでしょう。

 

デメリット

スプレードライ製法には多くの利点がある一方で、いくつかのデメリット(注意点)も存在します。まず、原料によっては高温の乾燥工程により、香り成分の揮発や色調の変化が生じることがあり、繊細な風味を重視する製品には不向きな場合があります。また、油分が多い素材や粘性の高い液体は霧化しにくく、粉末化が難しいケースもあるため、事前に原料特性を見極める必要があります。

さらに、乾燥の過程で粉末の性質が変わることがあり、吸湿しやすい粉になったり、固まりやすい物性になったりする場合があります。そのため、賦型剤の選定や加工条件の最適化が求められ、想定した品質を得るには調整が必要になるのも注意点です。

 

【受託加工】原料加工のご相談は「ファーマテック」へ

【受託加工】原料加工のご相談は「ファーマテック」へ

スプレードライ製法など原料加工の外部への依頼を検討されている場合にはぜひ当社「ファーマテック株式会社」へご相談ください。

当社ではスプレードライ製法やフリーズドライ製法をはじめ、用途や成分特性に合わせた最適な乾燥方法を選定し、品質の安定した粉末原料を製造することが可能です。

エキスの溶解性・風味・製品設計に合わせて、最適な賦型剤のご提案も行っており、粉末化後の扱いやすさや最終製品の品質向上につながる加工をトータルでサポートしております。

そのほか、一般的な乾燥粉末化加工にも幅広く対応しており、原料の種類や目的に応じてオーダーメイドで最適な工程を組み立てることができます。

原料加工に関するご相談は、どの段階でもお気軽にお問い合わせください。ご依頼者様の製品づくりを支える最適な加工方法をご提案させていただきます。

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スプレードライ製法について

スプレードライ製法は、液体原料を効率良く粉末化できる代表的な乾燥技術であり、一般食品・健康食品・化粧品原料など幅広い分野で活用されています。熱風を用いるため短時間で乾燥でき、品質を安定させやすい点が大きな特徴です。一方で、熱に弱い成分は変質する可能性があり、原料によっては合わないことがある点には注意が必要です。

原料や製品特性に合った加工方法を選ぶことが重要なため、性質や求める品質に応じて、フリーズドライなど他の乾燥方法との比較検討も必要です。まずは専門業者に相談し、最適な方法を選定するのが良いでしょう。スプレードライ製法にご興味がある場合には、参考にしていただければと思います。

 

食品保健指導士 渡邉 正範
渡邉 正範
食品保健指導士

1998年03月に「大根踊り(青山ほとり)」が名物の某私大農学部を卒業後、サプリメント製造受託メーカーにて研究開発10年・営業13年を経験し、2020年09月より当社技術営業に従事。
ヘルスケア業界27年の経緯を生かし、健康と栄養の正しい理解を広げたいと奮闘中。
趣味は、DIYとラーメン店めぐり。

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