1. HOME
  2. お知らせ
  3. ナットウキナーゼとは何?納豆菌との違いや主な作用などを解説

NEWS

お知らせ

トピックス

ナットウキナーゼとは何?納豆菌との違いや主な作用などを解説

ナットウキナーゼとは何?納豆菌との違いや主な作用などを解説

納豆に含まれる成分「ナットウキナーゼ」は、健康成分として注目を集めている酵素です。納豆菌が発酵の過程で生み出す成分で、様々な健康効果が期待できます。

この記事では、「ナットウキナーゼとは?」というテーマで、その働きや安全性、摂取方法などを解説します。

日々の健康維持や生活習慣の見直しに関心のある方にもおすすめの内容です。ナットウキナーゼやその健康効果について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

ナットウキナーゼとは?

ナットウキナーゼとは、納豆の発酵過程で生まれる酵素の一種で、正式には「プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)」に分類されます。「納豆(Natto)」と「酵素(Kinase)」を組み合わせた造語で、1980年代に日本の研究者によって命名されました。この酵素は、納豆特有のネバネバ成分の中に含まれており、発酵の主役である「納豆菌」が大豆を分解・発酵させる過程で生成されます。

ナットウキナーゼに関する研究は古く、1925年には北海道帝国大学の大島博士によって、その精製および性質についての報告がなされています。その後も多くの研究が行われ、フィブリン(血栓のもととなるタンパク質)を分解する働きが明らかとなり、「ナットウキナーゼ」として広く知られるようになりました。

なお、納豆にどれだけのナットウキナーゼが含まれているかどうかは、製造工程や発酵の状態に左右されます。すべての納豆に同じ量のナットウキナーゼが含まれているわけではなく、製品によってばらつきがあります。

 

納豆菌との違い

ナットウキナーゼと納豆菌は混同されがちですが、実際にはまったく異なる存在です。納豆菌は、納豆を作る際に使用される「菌(微生物)」であり、大豆を発酵させる役割を担います。つまり、納豆菌は納豆を作るための「働き手」であり、ナットウキナーゼはその働きの中で生まれた「成果物」と言えるでしょう。

納豆菌自体は熱や酸に強く、胃酸にも耐える「芽胞」という形で存在できるため、生きたまま腸に届きやすく、腸内環境を整える働きがあるとされています。乳酸菌などの有用菌を助けるプロバイオティクス的な作用も期待できます。一方、ナットウキナーゼは酵素であるため、それ自体が繁殖することはなく、熱に弱く、一定の温度を超えるとその活性が失われてしまいます。

このように、納豆菌は「発酵を行う菌」、ナットウキナーゼは「その菌がつくる酵素」というように、役割・性質のどちらも異なります。

 

ナットウキナーゼの主な作用

ナットウキナーゼの主な作用

ここからは、ナットウキナーゼの主な作用、働きを紹介します。

主な作用として「血栓溶解作用」「血流改善作用」「抗ウイルス作用」「免疫賦活作用」「AGEs形成阻害」「バイオフィルム形成阻害効果」が挙げられます。

 

血栓溶解作用

代表的な作用の一つが、血栓(血のかたまり)を溶かす働きです。血栓は、フィブリンというタンパク質を主成分とするもので、血管内にできると血流を妨げ、脳梗塞や心筋梗塞などのリスクを高める原因となります。

ナットウキナーゼは、そのフィブリンを直接分解・溶解する作用があるほか、体内に備わる血栓溶解酵素「ウロキナーゼ」の前駆体(プロウロキナーゼ)を活性化させたり、血栓溶解を促す「t-PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)」の分泌を増やしたりする働きもあります。

さらに、血栓の溶解を妨げる「PAI-1(プラスミノーゲンアクチベーター・インヒビター1)」を分解することで、血栓が溶けやすい環境をつくる効果も期待できます。

このように、ナットウキナーゼは血栓を溶かすのを助ける酵素で、体の中で色々な仕組みに関わりながら血栓リスク低減に寄与するとされています。ある研究では、ナットウキナーゼを摂取してから約6時間後に、血が固まりにくくなる働き(血小板のくっつきを抑える効果)が強くなることが確認されています。

参考:ナットウキナーゼの血栓溶解作用

 

血流改善作用

ナットウキナーゼには、血栓を直接または間接的に溶かす働きがあり、その結果として血液の流れをスムーズにする効果も期待できます。血栓によって滞っていた血流が改善されることで、全身に酸素や栄養が届きやすくなります。

特に高齢になると血管の柔軟性が低下し、血流も悪くなりがちです。ナットウキナーゼは、そうした加齢による血流低下の影響を和らげる可能性があり、ヒト試験でもその効果が確認されています。

また、血流が改善することでの血圧の低下効果も報告されており、高血圧の予防や対策としての機能性が注目されています。実際に、対照群と比べて、ナットウキナーゼ摂取群では収縮期・拡張期ともに有意な血圧降下が認められたという研究結果もあります。

血流改善によって体の隅々に血液が行き渡ることで、末梢体温の維持にも有効であるとされています。冷水にさらされた手指の体温回復が、ナットウキナーゼ摂取により速やかに促進されたという報告もあり、冷え性などの緩和にも役立つと考えられています。

参考:血圧降下作用について

参考:末梢体温維持について

 

抗ウイルス作用

ナットウキナーゼに、抗ウイルス作用があることが、試験管内(インビトロ)実験で示されています。特に注目されているのが、新型コロナウイルスの感染に深く関わる「スパイクタンパク」や、インフルエンザウイルスの「ヘマグルチニン(HA)」といったウイルスタンパク質を、ナットウキナーゼが分解するという点です。

その分解作用は非常にわずかな酵素量でも発現されることが確認されており、ウイルスの感染因子であるスパイクタンパクが破壊されることで、ウイルスがヒトの粘膜(口腔・鼻腔・気道など)に付着して感染を引き起こすことが物理的に阻まれる可能性があります。

つまり、ナットウキナーゼはウイルスが体内に侵入する前にその構造を分解するという、従来の免疫アプローチとは異なる形での感染予防効果が期待できるのです。特定のウイルスに限らず、幅広いウイルス感染症に対して予防的な効果があるのではないかと、今後の研究にも注目が集まっています。

参考:抗ウイルス作用

 

免疫賦活作用

免疫力を高める「免疫賦活作用」があることも確認されています。特に注目されているのが、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性に関する効果です。2019年に東京医科大学で行われた臨床試験では、健康な男性にナットウキナーゼ4,000FU(通常推奨量の2倍)を摂取してもらい、その後のNK細胞の反応を観察。

その結果、ナットウキナーゼの摂取によってNK細胞の数が増加することが確認されました。NK細胞は体内のウイルス感染細胞やがん細胞をいち早く察知して攻撃する役割を担う、自然免疫の中心的な存在です。その細胞の活性が高まることで、ウイルス感染や腫瘍の発生を防ぐ力が強まると考えられています。

参考:免疫賦活作用

 

AGEs形成阻害

 
AGEs(最終糖化産物)の形成を抑える作用があることも、糖尿病モデルラットを用いた実験で確認されています。AGEsとは、血中の糖とたんぱく質が結合することで体内に蓄積される物質で、糖尿病の進行や様々な合併症の原因として知られています。血管や腎臓、神経へのダメージに深く関わることから、近年では生活習慣病対策の重要な要素の一つとされています。

その研究では、ナットウキナーゼを低用量・高用量で投与した群と、非投与のコントロール群を比較したところ、特に高用量群でAGEsの値が有意に低下していたことが報告されました。また、AGEs形成の抑制により、腎臓の尿細管におけるグリコーゲンの沈着や、炎症の指標であるCRP(C反応性タンパク)の上昇が抑えられる可能性も示唆されています。

参考:AGEs形成阻害

 

バイオフィルム形成阻害効果

虫歯の原因となる細菌のバイオフィルム形成を抑制する効果もあることが報告されています。バイオフィルムとは、細菌が歯の表面などに定着し、ネバネバとした膜状の構造を形成するもので、虫歯や歯周病の発症に大きく関わっています。特に、う蝕(虫歯)の原因菌であるミュータンス菌などは、そのバイオフィルムによって外部からの刺激や抗菌成分から身を守り、歯に対して強い酸を産生します。

研究では、ナットウキナーゼを1mg/mlの濃度で添加した場合、バイオフィルム形成が約80%も抑制されたという結果が出ています。さらに、バイオフィルムの主要構成成分である非水溶性グルカンの量も大幅に低下し、歯面への付着を妨げる効果も認められました。

そのような作用から、ナットウキナーゼは口腔内の健康維持や虫歯予防にも貢献する可能性のある成分として注目されています。

参考:バイオフィルム形成阻害効果

 

ナットウキナーゼの安全性について

ナットウキナーゼの安全性について

ナットウキナーゼは、健康維持につながる様々な作用がある成分である一方、安全性に疑問を持たれる方も多いでしょう。

納豆を日常的に食べている方が多いことからもわかる通り、基本的には安全性の高い成分です。

ただし、一般的な納豆には、血液の凝固に関わるビタミンK2が含まれているため、抗凝固薬(ワルファリン)を服用中の方には注意が必要とされています。一方、ナットウキナーゼのサプリメントは、ビタミンK2を除去した製品が主流となっており、安心して摂取できるよう配慮されています。

ナットウキナーゼの安全性については、国内外で数多くの試験や臨床研究が行われており、以下のような検査や認証をクリアしています。

試験管および動物実験による安全性確認

  • 単回・反復投与毒性試験(28日・90日)
  • 遺伝毒性試験(復帰突然変異、染色体異常)
  • 病原性試験

ヒトでの安全性試験

  • ナットウキナーゼとワルファリンの併用試験
  • 高用量摂取(10,000FU/日)による影響確認
  • 他の抗血栓薬との併用安全性確認試験 など

さらに、アメリカFDAのGRAS認証や欧州EFSAのNovel Food認証、ハラール・コーシャなどの各種国際的な認証も取得しており、品質と安全性の国際基準を満たしています。

また、ワルファリンを服用している心臓血管病患者への併用試験でも、安全性に問題がないことが確認されています。ビタミンK2を含む納豆と違い、ナットウキナーゼは血液凝固への影響が小さく、併用しても安定した効果が期待できると報告されています。

このように、ナットウキナーゼは効果だけでなく安全性も高い健康成分であり、日々の健康維持を目的に、安心して摂取できる成分といえるでしょう。

参考:安全性に関する詳細

 

ナットウキナーゼの摂取方法

ナットウキナーゼの摂取方法

ナットウキナーゼを効果的に摂取するには、適切な摂取方法やタイミングを意識することが大切です。ナットウキナーゼは主に「納豆」や「サプリメント」から摂取できますが、それぞれに特徴があります。

納豆は日本人にとって馴染み深い食品で、ナットウキナーゼを自然な形で取り入れることができます。ただし、加熱に弱い酵素であるため、熱々のご飯と一緒に食べたり、加熱した納豆料理にしてしまったりすると酵素の働きが失われる可能性があります。できるだけそのままの状態で食べるのが効果的であり、朝食や夕食の一品として日常的に取り入れるのがおすすめです。

一方、サプリメントの場合は、ビタミンK2を除去しているものや、効果が安定している高濃度タイプも多く、納豆が苦手な方や毎日の摂取が難しい方にもおすすめです。持ち運びにも便利で、旅行先や忙しい日でも手軽に摂取できるのが大きなメリットです。

 

摂取量

ナットウキナーゼを効果的に摂取するための目安は、1日あたり2,000FU(フィブリン分解単位)とされています。これは、一般的な納豆1パック(約50g)に含まれるナットウキナーゼ活性量が約1,500FUであることから、納豆で摂取する場合は1~2パック程度が推奨量の目安となります。

ただし、最初に説明した通り、ナットウキナーゼ活性は製品ごとにばらつきがあり、特に賞味期限が近い納豆や内容量が少ないタイプの納豆では、活性が少ない可能性もあるため注意が必要です。

サプリメントで摂取する場合は、胃酸の影響を受けにくい加工(ソフトカプセルなど)が施されていることが多く、より安定して有効成分を摂取できる利点があります。日々の摂取量にばらつきが出やすい方には、サプリメントでの補給がおすすめです。

なお、サプリメントで摂る場合は、パッケージに記載された摂取目安量を守ることが大切です。効果を得るためにも、気になる方は継続的に、無理なく取り入れるよう心がけましょう。

 

摂取タイミング

夕食後や就寝前に摂取するのがもっとも効果的とされています。というのも、血栓は深夜から早朝にかけてできやすいとされており、その時間帯にナットウキナーゼの作用が働いていると、血栓のリスクを抑える効果が期待できるからです。

特に、40代以上の方、ストレスの多い方、血圧が高めの方、高脂血症や糖尿病などで血液の粘性が高いとされる方には、毎日の継続的な摂取がおすすめです。

 

血栓症とは?

血栓症とは?

血栓症とは、血管の中にできた血の塊(血栓)が詰まることで、血液の流れが止まり、臓器に酸素や栄養が届かなくなる状態を指します。血栓が原因で血流が遮断されると、脳梗塞や心筋梗塞など、命に関わる重大な病気を引き起こす可能性があります。飛行機内で長時間同じ姿勢を続けることで起こる「エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)」もその一例です。

血栓ができる背景には、「血液の状態」「血管の損傷」「血流の停滞」といった複数の要因が関わっており、現代では食生活の乱れや運動不足などにより、若年層でも血栓リスクが高まっています。

厚生労働省の統計によると、心疾患や脳血管疾患など血栓が原因となる病気は、日本人の死因の上位を占めており、決して他人事ではありません。血栓症は突然発症することが多く、予防がとても重要です。

日常的にできる予防策としては、適度な運動や食生活の見直し、ストレスの軽減などです。血液の流れを良くし、血栓を作りにくくする体づくりを心がけることが大切です。

 

ナットウキナーゼに興味がある方へ

ナットウキナーゼは、納豆の粘り成分に含まれる酵素で、血流や健康維持に役立つ機能性が注目されています。納豆菌とは異なり、体内で直接作用する点が特徴です。加熱に弱いため、生で摂取するか、安定性に優れたサプリメントでの摂取が効果的です。

なお、ナットウキナーゼサプリメントの製造・販売を検討されている場合には、ぜひファーマテック株式会社にご相談ください。ナットウキナーゼを含む機能性サプリメントの製造が可能で、企画から製造・販売まで一貫したサービスを提供しています。

サプリメントや健康食品に関するご質問にお答えしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

参考資料:【日本ナットウキナーゼ協会】納豆のネバネバに含まれるナットウキナーゼ

管理薬剤師 櫻井 久美子
櫻井 久美子
管理薬剤師

2016年03月に某私大薬学部を卒業、同年04月より都内の漢方薬局で5年間勤務。チビッ子の育児に専念する為、2021年04月に退職。その後3年間の育児期間を経て、子育てを頑張りながら2024年04月より当社にて管理薬剤師業務に従事。
現在は、チビッ子二人の育児教育を手抜きすることなく、一方で会社員をこなす二刀流の薬剤師ママ。
趣味は、バレーボール。甘いもの好き。

最新記事